学校日記

1月7日(木) 季節の風景

公開日
2021/01/07
更新日
2021/01/07

学校

 花壇がずいぶんにぎやかになってきました。新年になり、ストックが花を咲かせ始めました。別名アラセイトウ。白や紫やピンクの花を咲かせます。
 アブラナ科の属の1つで南ヨーロッパ原産。日本には江戸時代に入ってきて、一般に出回るようになったのは大正時代。花の少ない冬に、春を思わせる明るい花色が好まれており、3月が一番の盛り。一重の花や八重の花などがある。花言葉は、愛情、永遠の美しさ。
 中学3年の国語の教科書で扱われている以下の詩にも「あらせいとうの花」として、出てきます。ひょっとして、保護者のみなさんの中には、なつかしく思う方もいるかもしれませんので紹介します。

「わたしを束ねないで」新川和江

わたしを束ねないで
あらせいとうの花のように
白い葱のように
束ねないでください わたしは稲穂
秋 大地が胸を焦がす
見渡すかぎりの金色の稲穂

わたしを止めないで
標本箱の昆虫のように
高原からきた絵葉書のように
止めないでください わたしは羽撃き
こやみなく空のひろさをかいさぐっている
目には見えないつばさの音

わたしを注がないで
日常性に薄められた牛乳のように
ぬるい酒のように
注がないでください わたしは海
夜 とほうもなく満ちてくる
苦い潮 ふちのない水

わたしを名付けないで
娘という名 妻という名
重々しい母という名でしつらえた座に
坐りきりにさせないでください わたしは風
りんごの木と
泉のありかを知っている風

わたしを区切らないで
コンマやピリオド いくつかの段落
そしておしまいに「さようなら」があったりする手紙のようには
こまめにけりをつけないでください わたしは終わりのない文章
川と同じに
はてしなく流れていく 拡がっていく 一行の詩

(童話屋1997)

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