3/29 楼蘭の美女
- 公開日
- 2017/03/29
- 更新日
- 2017/03/29
校長室より
皆さんは「楼蘭(ろうらん)の美女」を知っていますか?
NHKで放映された「シルクロード」にも出てきたので、知っている方も見えると思います。「楼蘭の美女」の話をするためには、まずは「楼蘭」という都市を知っている必要があります。
「楼蘭」という都市が文献史料に登場するのは、『史記』匈奴列伝に収録された手紙の中で触れられているのが最初(紀元前2世紀)です。残念ながらそれ以前の歴史は空白です。場所は、中央アジア、タリム盆地のタクラマカン砂漠北東部(現在の中国・新疆ウイグル自治区チャルクリク)です。歴史の好きな方は、「さまよえる湖 ロプノール」をきいたことがあるかもしれません。そのロプノールの西岸に位置しており、シルクロードが西域南道と天山南路に分岐する要衝にあるため、交易により栄えました。そして、4世紀頃からロプノールが干上がるのとほぼ時を同じくして国力も衰え、やがて砂漠に呑み込まれしまいました。その後、失われた都市「楼蘭」は、1900年にスウェーデンの探検家ヘディンによって発見されました。
話が長くなってしまいましたが、「楼蘭の美女」は、楼蘭の遺跡付近でミイラとして出土しました。中国で発見されたミイラで最も古い3800年も前のミイラでした。
実はこのミイラは、中国人というより北ヨーロッパの女性という感じの顔立ちで、鷹の羽の飾りが付いたおしゃれなフェルトの白い帽子を被っていました。
またこの女性は、落ち窪んだ眼を縁取るフサフサとした睫が完璧に残っているのが確認でき、ウェーブのかかった長い髪は赤っぽい茶色でした。このような姿から、コーカソイド(白人)ではないかと言われ、実際DNA検査をしたところ、コーカソイドであることが明らかになりました。3800年前、今の中国・新疆ウイグル地区にはコーカソイドが住んでいたのです。びっくりですね。
写真は、このミイラの復元図です。きれいな顔立ちをしていますね。まさに、「楼蘭の美女」にふさわしいと思います。
ところで、なぜ突然こんな話題にしたのか。
実は、先ほど紹介したヘディンが、楼蘭を発見したのが、3月28日で、それを記念して昨日が「シルクロードの日」となっているからです。
中国大陸は様々な民族が入り乱れて、壮大な歴史を刻んでいます。今日もNHKBSで秦の始皇帝のことを放映しています。ときには、雄大な中国大陸に思いをはせるのもいいことかもしれませんね。
(写真はウィキペディアより)