6/25 もうしないでね
- 公開日
- 2015/06/25
- 更新日
- 2015/06/25
校長室より
今日の中日新聞の中日春秋に次のような内容が書かれていました。
名彫刻家だった父親の死後、せがれが跡を継いだが、どうにも腕が悪い。かつて父親に世話になった店の主人が恩返しで、せがれの不出来な作品を買い取ってきたが、ある日、せがれが持ってきた作品を見て堪忍袋の緒が切れる。人情噺の名作「浜野矩随(はまののりゆき)」の一席である。
せがれが彫ったのは馬だったが、足が3本しかない。店の主人が問うと「ウトウトしていて1本落としてしまった」。主人はそんな代物を持ち込んできた了見が許せず、ひどく叱る。
こっちの話は「1本落とした」ではなく1本増やしてしまった。小学校1年生が使う国語の教科書の挿絵。少女の腕が3本あるように誤って描き、1万冊弱を回収する騒ぎになった。
(中略)
間違いは誰にでもあり、それは教科書とて例外ではないということか。
あの人情噺で不器用なせがれは母の命をかけた励ましに奮起、父をしのぐ名工となる。
少々甘い話に聞こえるかもしれぬが、教科書が間違えたと笑い、こき下ろすよりも「もうしないでね」と、静かに声をかける方がよほど失敗した人の了見を変えるということもあろう。
いかがでしょうか。「もうしないでね」と優しく声をかけることはむずかしことかもしれません。ただ、失敗した人の気持ちを考えると、優しく声をかけることは、その人との人間関係をつくるためにも良いことではないでしょうか。