学校日記

8/13 お盆

公開日
2014/08/13
更新日
2014/08/13

校長室より

 「(前略)私の弟が海難事故で遺体がなかなか上がらなかったときの母がそうだった。一日中、台風で荒れる浜辺を弟の名前を呼んで歩いていた。「母さんに休むように言いなさい」父に言われて波打ち際の母に声をかけに行くと、私は大丈夫です、と驚くほど気丈に返答された。
 尋常な気の張り方ではないのだ。
 同じような精神状態の人が今も海辺を歩いている。
 被災しなかった人は、時間の経過とともに災害を忘れてしまう。
 だが、悲嘆にくれるのを我慢し、歩き続けている人が、被災地には大勢いる。
 世の中というものは自分の痛みでなければ、いとも簡単に物事を片付ける。
 それが当然であり、世間というものだ。
 “ガンバレ”では済まない、希望の見えない人たちがいる。親を亡くした子どもたちがいる。子どもを、孫を亡くした親が、祖父母がいる。
 そのことを私たちは肝に銘じておかねばならない。
 昨日、自宅に暖房が入った。
 寒い冬が北の地にこようとしている。
 夏が終わったのではなく、冬がはじまるのだ。」
      (伊集院静箸 「続大人の流儀」から抜粋)

 東日本大震災の被災地も4年目の夏、お盆を迎えました。
      (画像は、昨年度訪れた福島県の学校です。)