3/20 卒業式 式辞
- 公開日
- 2014/03/20
- 更新日
- 2014/03/20
知多の国語
卒業式も無事終わりました。練習の時から見ていましたが、本当に立派な卒業式でした。座っているときの態度もすばらしく、呼びかけ、歌は最高でした。この感動をいつまでも忘れずにいてほしいと思います。
さて、卒業式の式辞を全文載せさせていただきます。
今年の冬はひときわ寒く、春の到来が待ち遠しい日々でしたが、校庭の桜の木々の、固かったつぼみもようやくふくらみはじめました。
このような早春の良き日に平成25年度新田小学校卒業式を挙行しましたところ、知多市教育委員会代表様、校区市議会議員の皆様、そして地域関係諸団体の皆様にご臨席を賜りました。高い所からではありますが、職員、児童を代表し、心より感謝申し上げます。誠にありがとうございます。
また、保護者の皆様、お子様のご卒業おめでとうございます。6年間の成長の姿をご覧になって、感慨もひとしおかと思います。お喜び申し上げます。
さて、161名の卒業生の皆さん。卒業おめでとうございます。先日の6年生を送る会で、ペアの1年生と入場しました。1年間お世話した1年生の成長を感じたことでしょう。また、1年生入学からのスライドも見ました。大きな歓声が上がっていましたが、あのスライドを見て、この6年間で、頭も、心も、体も成長したことを感じたのではないでしょうか。そんな皆さんに、卒業に当たり、二つのことをお話ししたいと思います。
一つ目は、「強さ」と「柔らかさ」です。今年の正月に、「神の数式」という4回連続の番組を放映していました。「世の中のことわりは、ただ一つの数式で表せ」、それを「神の数式」と呼ぶこと、そして、多くの科学者が、「神の数式」を見つけようと挑戦していること、こんな内容に惹かれて見ることにしました。ところが、いざ見てみると、「デュラック方程式」とか「超弦定理」など、わからないような難しい言葉が飛び交っている内容でした。けれども、4回すべて見ることができたのは、この話が多くの科学者たちの人間ドラマであったからです。
科学者たちは、200年くらい前から、「神の数式」を見つけるための努力をしてきました。一つ一つの難問に対して、自分の頭脳だけで勝負していく。そして、いろいろと考えて一つの難問をクリアする。この一つの難問をクリアするために、何10年もの戦いがあります。決してあきらめず、自分の信じた方法で、難問をクリアしていく。そういう強さ、信念が必要です。自分を信じ、自分の考えた方法であくまでも解決を図ろうと努力する。最初は、小さな風穴かもしれません。けれども、何度も挑戦を続けていくうちに、小さな風穴も大きくなり、ついに壁を崩すことができる。そういう強さを見習っていくことが大切です。
壁は一つではありません。一つの難問がクリアされると、次の難問が立ちはだかります。何度も何度も同じことが繰り返されます。そういうとき、ときには、考え方を変えてみる「柔らかさ」が必要になります。この番組では「発想の転換」といっていました。どうしてもこの方法で解決できない場合、ちょっと見方を変えてみる。そうすると、また違った世界が見えてきます。一つの方法にこだわるのも大切かもしれませんが、この「柔らかさ」もときには大切ではないかと思いました。「強さ」と「柔らかさ」。この二つをバランスよくもっていること。これからの生活において必要なことだと思います。
もう一つは、「今というこの時を大切に」です。先日6年生の子どもが聞きに来たときに話した言葉であり、私の座右の銘でもあります。「網膜剥離」という病気にかかり、三回手術をしました。手術後は、目に振動を与えるのはよくないということなので、ほとんどの時間をベッドで過ごしていました。手術した方の目はふさがれ、めがねをかけることもできず、テレビを見たり、本を読んだりすることもできません。
こういう病院での生活をすごして、「1日、いや1時間はとても長いんだ」ということを学びました。病院では時が止まったかのように過ぎてくれません。こんなに長い時間があれば何でもできるのではないかとも思いました。
でも、退院してみるとどうでしょう。あれだけ長く感じた、1日、1時間のなんと短いことか。時は限りあるものです。そして、過ぎ去った時はかえってきません。
皆さんはこれから、学習や部活動で忙しい中学校生活を送ることになります。そのときに、「時」をどのように使うのでしょうか。
「今を大切にしないものに、未来を築くことはできない」とも言われます。自分の未来、新鮮で楽しい未来、有意義で毎日が充実している未来。こんなすばらしい未来を築くためにも、「今というこの時を大切に」してほしいと思います。
さて、なごりはつきませんが、最後に、私の大好きな言葉をおくって終わりとさせていただきます。
世界中のすべての言葉がなくなってしまうことになったとしても、一つだけ残しておきたい言葉があります。その言葉を、本日この会場においでいただいたすべての方々に贈ります。
「ありがとう」
平成26年3月20日