葦
- 公開日
- 2019/04/04
- 更新日
- 2019/04/04
校長室から
入学式校長式辞
高田の丘の桜は満開間近、色とりどりの花薫る季節となりました。
令和の新時代を控え、平成の時代とを結ぶ今、中部中学校の入学式を挙行できますことを、大変うれしく思います。
本日は、知多市教育委員会、石井久子様、知多市議会を代表して、荻田信孝様をはじめ、中部中を愛する地域の方々、PTA役員の方々がお祝いに来てくださいました。高いところからではありますが、厚く御礼を申し上げます。誠にありがとうございます。
さあ、128名の新一年生のみなさん、
「入学 おめでとうございます」
いよいよ中学校生活が始まりました。
中部中学校の制服に身を包み、緊張した様子の皆さんを見ていると、中学校への期待や意欲が伝わってきます。これからの皆さんの活躍が楽しみでなりません。
また、2年生のみなさん。先輩となりました。中堅としての活躍を期待します。中部中の色は君たちが染める。
3年生のみなさん。義務教育最後の歳、後輩たちの憧れとなるよう期待します。中部中の伝統を繋ぎ、次代へ羽ばたく年としよう。
古事記によれば、古代日本は、「豊葦原瑞穂国(とよあしはらのみずほのくに)」と呼ばれていました。瑞穂は、「みずみずしい稲の穂」。豊葦原は、「豊かな葦茂る原」。
「葦」
古来、日本になじみのある植物と言えます。葦(あし)というは、「よし」とも言い、イネ科の植物で水辺に生えるどこにでも生える植物です。
「人間は考える葦である」と17世紀のフランスの哲学者パスカルの言葉です。
「人間は考える葦である」これは有名なフレーズですが、本当はもう少し長い文章となっています。
「人間は一くきの葦にすぎない。自然の中で最も弱いものである。しかし、それは考える葦である」
葦は、風に弱い。強い風が吹くとしおれてしまって倒れてしまう。でも、風がやむとだんだんと身を起こして、何事もなかったかのように風になびく。
葦は、一本だけで生えていることはない。群生といって仲間と一緒にそこに生える。仲間と一緒にしおれて、仲間と一緒にしなやかに身を起こす。
パスカルは、「考える葦」と言っています。
葦は、決して「弱い」だけのものではない。そのしなやかさこそ、その強みでもある。しなやかに考えること、仲間とともにいることで強く生きられることを示してくれている。
あなたは、「考える」ことができる。自分を考える、他を考える、社会を考える。考えることが、生きていくことだ。考えることで生きる力が育まれていく。
この中部中学校では、あなたが自己の生き方を考えること。そして、他者と共によりよく生きることを願っています。
新しい時代の始まりです。一人一人があなたらしさを発揮して、仲間とともにしなやかに力強く成長することを願っています。
結びとなりましたが、保護者の皆さん。本日はお子様のご入学、誠におめでとうございます。我が子の制服姿に、また親として感慨もひとしおのことと思います。しかし、中学校時代は、多感で繊細な時期に当たり、子育てに悩むことも多いと思います。
中部中学校は、保護者の皆様と地域の皆様と一人一人を「ともに」考えて、育んでまいります。「ともに」です。
今、教育現場は新学習指導要領の令和三年度完全実施に向けて移行期間中です。また、国が推進する「働き方改革」について、喫緊の課題となっており、本校においても「カイゼン」の最中です。
「ともに」に基本は、まず知っていただくことと考え、本校では、学校広報の充実を柱に課題へ対応の一助として参ります。ご理解とご協力をいただきたく申し添えさせていただきます。
本日ご臨席いただきましたご来賓の皆様方。本日入学した生徒と在校生らが、一人一人自分らしく羽ばたいていけるよう、これまでと変わらぬご支援・ご協力のほどお願い申し上げます。
以上、新入生の今後の活躍を祈念して、「ともに」地域に愛される学校づくりをすることをお約束して式辞といたします。
平成31年4月4日
知多市立中部中学校長 佐藤 敏弘